ジャカルタの高級ホテルのレストランで、仰々しく、スモークとともに供されたのは、北海道オホーツク産と銘打たれた「特別料理」でした。
農林水産相の政府高官も都内のフォーラムで、「オホーツクのホタテ貝は、海外向け水産物で最もブランド力がある」と力説していました。
オホーツクの海でそだったホタテは、ジャパンブランドの水産キラーコンテンツなのです。
そのホタテ貝は、北の海の耕作地で生まれています。サロマ湖で稚貝をそだて、オホーツクの海に放す。—-外海で、自由に動き回って育つホタテは、大きすぎず小さすぎず、均整のとれた筋肉質のホタテ貝に育ちます。(いわゆる動かないように、かごの中で育つ養殖ホタテ貝とは違います)
そして、ホタテ貝は4年貝となって、収穫の時を迎えるのです。
サステナビリティを意識して、計画的に育成されているホタテ漁業ですが、実は、加工場の地元就業者の高齢化にともなう労働者の不足が深刻化しているようです。
外国人の研修生の採用もふくめて、補ってはいるものの、国際情勢の変化も含め変動要因がおおく安定していません。
先日、湧別漁協をおたずねしてびっくりしたのは、この労働力不足に関して、ホタテの殻むきのロボット化計画があることでした。
ホタテ原貝を自動で開き、内臓とひも部分を除いて、貝柱を自動的にとっていく「オートシェーラー」による実験がおこなわれていたことです。
湧別漁協では、人手作業と同じレベルの品質を維持できることが実験の結果として実証されたそうです。実際にみたマシンは、まさにホタテ剥きシステムロボット。原貝をセットして、異物の除去、蒸気をあてて上の貝柄をとって、内臓と紐の部分を吸引・排出、貝柱をナイフでとり、下の貝殻を排出する作業はまさに流れ作業。
このロボットは、11人分の働きをするとのこと。このオートシェーラーが稼働すると、作業員2人で11人と同様の作業ができることになり、労働力不足を補うことができることになります。
湧別漁協の雲津常務理事は「近年、急激な気象変化により、漁獲量の変動が大きく、地元の加工場などが打撃を受けている。漁協が生産量を維持しないと、地域経済に大きな影響を与えかねない。そのためにも先手を打って、人で不足を補う大胆な施策が必要だった」と教えてくれました。
オホーツク、湧別町のホタテには、地域のいろんな想いがつまっています。だからこその、湧別町のキラーコンテンツといえるのでしょう。